メトリクスを測って文章の質を上げる
概要
概要文章
○ 短い背景+何をするかの短い説明(どちらにも一番分かりやすく短い具体例を使う、まとめではない)
○ 「~するといったアイディアです。」の形で終わる
○
これによって現在よりもよくなること
文章を書く機会は多くあります。この中で、どのように文章を書けばその質が上がるかを考えたときに、その1つのアプローチとして、文章を書いていく間に、逐一、メトリクスを測定することで文章の質を上げる、といったアイディアです。
プログラミングではコードの品質を保つためにメトリクスを使います。文章を書くときも、プログラムと同様に、このメトリクスを使って測定値の増減を常にチェックすれば、文章の質を上げることが出来ます。
背景
プログラミングと同じようにメトリクスを使う
背景文章
○ これが出てきた過程、これを思いつくまでの経緯、世の中の必要性などを書く。
○ 「そこで、~する、といったアイディアに至りました。」の形で終わる。
○簡単な言葉で書ける必要なことだけを短く書く。詳細な背景は後で書く。
プログラミングでメトリクスという言葉が出てきます。メトリクスとは、数値として測定可能な評価値を表します。例えば、プログラム全体のコード行数や、関数の数、コード内のif分岐の数など、測定可能であればなんでもメトリクスとすることが出来ます。
メトリクスの主な利用方法の一つとして、プログラミングではコードの品質を保つためにメトリクスを使います。コードの品質を見るのに適切なメトリクスを選んで、逐一、測定します。その増減を常にチェックすることで、メトリクスの評価値を上げようという気持ちが働き、品質への意識を高めます。
文章を書くときも、プログラムと同様に、このメトリクスを使って測定値の増減を常にチェックすれば、文章の質を上げることが出来ます。そこで、文章の質を見るのに適切なメトリクスを選んで、逐一、測定することで、文章の質を上げる方法について、ここにまとめます。
どんなもの?
メトリクスを測定することで文章の質を上げる
方法文章
○「背景」からの流れを使わず、ここから読んでも分かるように新しく文章を書き始める。
○はじめに筆者が想像するその具体的な場面/状況をまず読者に伝える。「~ときに/~の場合を考えます」のようなフレーズを使う。
○状況設定の後、そのアイディアがどんなものなのかを一言(最も短い例)で書く。
「~といったアイディアです。」のようなフレーズを使う。限定しすぎたり不足があっても後の文章で修正できる。
○一言説明の後、アイディアの説明を1つの例に限定してそのシナリオ全部を書く。
○取り残した部分、利点、性質は後で書く。
検討した成果を文章にまとめたり、報告書を書いたり、文章を書く機会は多くあります。この中で、どのように文章を書けば質が上がるかを考えたときに、その1つのアプローチとして、文章を書いていく間に、逐一、メトリクスを測定することで文章の質を上げる、といったアイディアです。文章の質を見るためにどのようなメトリクスを選んで、どのように文章の質を上げるのかを考えます。
次に挙げる手順に沿って、メトリクスを使って文章の質を上げます。以降で、各ステップの詳細を説明します。
- メトリクスを選ぶ
- メトリクスを測って表を作る
- 定期的に測って値を確認する
メトリクスとは?
はじめにメトリクスとは、数値として測定可能な評価値を表します。文章のメトリクスは、例えば、全体の文字数や、図の数など、文章に対して測定可能なものであればなんでもメトリクスとすることが出来ます。
1. メトリクスを選ぶ
まず、メトリクスとして文章の何を測定するかを決めます。メトリクスの例を次に挙げます。
- 文字数
- 文数
- 1文中の文字数
- 章/節数
- ページ数
- 図の数
- 表の数
- 箇条書きの数
- 数式の数
- 掛かった時間
これら以外にも、いろいろな視点からメトリクスを考えられます。柔軟に考えてメトリクスを探します。また、これらのメトリクス項目を測定する方法も、次のようにいろいろ考えられます。
- これらのメトリクスを全体で、または、1章ごとに測定
- これらのメトリクスを全体で、または、1ページ当たりに換算して、あるいは、100文字当たりに換算して測定
- 重視する度合いに応じて各測定値に重みを付けて和算し、総合値を算出
- 上記の項目の組み合わせ
メトリクスを全体で測定すれば、文章全体の傾向が分かります。一方、1章ごとに測定すると、どの章が多いかなど、章の間で傾向を比較できます。測定した値を1ページ当たりに換算すると、測定値をページ数で割るので、文章のサイズに無関係な量が求まり、他の文章と傾向を比較できます。100文字当たりに換算しても同様です。
複数の測定値に対して重みを付けて和算すると、複数の項目を総合的に評価できる1つの値が得られます。例えば、測定値に箇条書きの数と表の数を使う場合を考えます。箇条書きと表は似たもので、ここでは表の方がより重要と思うとすると、箇条書きには重み0.3、表には0.7を付けると決めます。和算の計算は、例えば、箇条書き数が6個、表の数が3個のときなら、0.3×6+0.7×3=3.9と求まります。測定値の種類が多い場合や、似た項目がある場合に、それらをまとめて1つとして扱うことが出来ます。また、全部の測定値を1つにまとめて総合評価を付けられます。
メトリクスに何の値を使うかの選択は、とても大切です。うまく選ぶことで文章の質を効果的に上げられたり、意味のないものを選んでまったく効果が出なかったりします。ここで選ぶメトリクスで、結果の8割以上が決まると言えるくらい重要です。最終的に文章をどうしたいのかを考えて、その目的につながるようなメトリクスを選びます。
その例として、ここでは、文章に含まれる図の数を増やせば文章の質が上がる、といった考えに立って、図の数を多くしたいという目的を考えます。すると、この例では、メトリクスとして図の数を選べばよいと分かります。文章を書いていく間、図の数を測定し続けることで、図の数を上げようという気持ちが働きます。これによって、文章の質の向上を目指します。
メトリクスとするもの: 文字数、文数、1文中文字数、章/節数、ページ数、図数、表数、リスト数、式数、(これらを[全体 or 章ごと]に、[全体 or 1ページ当たり]で計算)→重視する度合いに応じて各項目に重みを付けて和算、総合値を割り出す。例として、文章中に図を多くしたいというケースに沿って説明する。
2. メトリクスを測って表を作る
メトリクスを選んだら、文章を書き始めます。文章を書いていく間、これらのメトリクスを測定し続けて、記録した値を表にまとめます。表は、縦軸に測定した日付を並べて、横軸にメトリクスの項目を並べます。例えば、次のような表を作ります。
日付 |
ページ数 |
文字数 |
章+節の数 |
図の数 |
表の数 |
箇条書きの数 |
2011/03/14 (月) |
9 |
3261 |
5 |
2 |
1 |
2 |
2011/03/15 (火) |
12 |
4100 |
6 |
2 |
2 |
4 |
2011/03/16 (水) |
14 |
5583 |
6 |
4 |
2 |
5 |
Microsoft Excelなどの表計算ソフトを使って、表に整理すると、集計の計算がしやすくなります。 また、自動的に1ページ当たりの値を計算したり、前後の日付で値の差分を計算したり、数値の変化をグラフに表したり出来ます。
実際の測定した表の例を掲載。
3. 定期的に測って値を確認する
メトリクスの表を作ったら、1日毎など定期的にメトリクスを測定して、値を表に記録します。測定の都度、この表を見ることで、現状をはっきりと把握できます。また、文章作成の進捗や作業スピード、完成までのスケジュール予測など、表からいろいろなことが読み取れます。
例えば、図の数を増やすことで文章の質を上げたい場合を考えます。メトリクスとして定期的に図の数を測定することで、図の数を常にはっきり把握できます。頻繁に図の数を見ることで、文章のどこかを図で表現できないか、といつも考えるような思考回路に変わります。図を使う意識が高まり、図で表現できる部分を探そうという気持ちにさせます。この意識が図の数を増やして、文章の質を上げます。
もしメトリクスで測定しなければ、ざっくり図が多いか少ないかのイメージしか残らず、図に対する注意が散漫になります。そもそも図で表現することに気付かないかもしれません。なので、メトリクスを測って、その度に値を見る、それだけで意識が高まり、文章の質を上げることが出来ます。
定期的にメトリクスを測って、その結果を毎回見ることによって、図の数を常にはっきり把握できる。いつも、どこか図に出来ないか、と考えるような思考回路に変えられる。頻繁に図の数を見ることで、図を使う意識が高まり、図で表現できる部分を探そうという気持ちにさせる。もしなければ、ざっくり図が多いか少ないかのイメージしか残らず、そもそも図で表現するということに気付かない。なので、メトリクスを測って、その度に値を見る、それだけで意識が高まり、文章の質を上げられる。
なるべく自動で測定する
メトリクスの測定は、なるべく自動で出来るように工夫します。例えば、Microsoft Wordなどの文書作成ソフトを使えば、文章の文字数やページ数を自動的に測定できます。また、章と節の数は、左下の図のように目次を追加して、その項目数を数えることで、準自動的に測定できます。図や表の数は、右下の図のように図表番号を追加して、図や表にタイトルを付けていきます。その後、左下の図のように図表目次を追加して、その項目数を数えることで、準自動的に測定できます。
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Microsoft Wordでの目次/図表目次の挿入 [拡大] |
Microsoft Wordでの図表番号の挿入 [拡大] |
メトリクスを選ぶときには、なるべく自動で測定できるものを選ぶようにします。メトリクスは1日1回など、かなり頻繁に測定するので、簡単に測定できるものを選びます。ここでは文章を書くことが1番の目的なので、メトリクスはなるべく手間の掛からないものを選びます。
メトリクスを自動で測定できないと、毎回の測定作業が負担になって、いつの間にか測定しなくなってしまいます。メトリクスは継続的に測定しないと、その効果がありません。測定を長く続けるために、自動で測定できないメトリクスは、始めから選ばないようにします。
メトリクスの測定はなるべく自動で出来るものがよい。
世の中の似た内容
現状文章 (同じこと、似たことがされている場合のみ)
参照は「本記事のアイディアのように/本記事で提案した~」
世の中でメトリクスと言うと、よくプログラムのコード品質を見るために使われます。例えば、関数の中にあるコード行数を数えて、500行以上になる関数の数が全体の関数のうち何パーセントあるかといった値を測定します。そして、常に1%以下になっているかを監視して、コードの品質状態をチェックします。この例では、500行以上の関数が全体の何パーセントになるかがメトリクスです。
※ご意見、ご感想、改善点、その他の情報などがありましたら、メールにてお知らせ願います。
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